遠藤周作 (えんどう しゅうさく、 1923-03-27~1996-09-29)
キリスト教は遠藤文学の最大のテーマであり、神学者ではなく、神学教育は受けていないにも関わらず、また、必ずしも正統とは言い難い思想もあるにも関わらず、日本のキリスト教分野を代表する人物とされている。小説以外の形式でも、「私のイエス」「私にとって神とは」などを発表しており、キリスト教関係者の間でもしばしば賛否両論含めた論評の対象になる。
「(人間が神の存在をつくり出したという人がいるが)人間がつくったものだったとしたら、もうとっくに捨てているわな。そのほうが人生に問題も苦しみも責任もなく、楽だもの。 しかし、『そうではない』という声が心のどこかに聞こえているから、今日まで小説を書いてきたんだ。」
- 「お祈りっていうのも、神さまありがとうございます、というばかりでなく、神さまに人生の苦を嘆くことでもあり、人生の愚痴をこぼしたり、怒ったりすることも祈りである時がある。むかし、ぼくは長いこと入院していた。手も足もなく生れた子が四歳の時死んでいったのをみて、『なんでそんなことなさるのや、なぜ黙っているんです」って神さまに怒ったことがある。しかし、その時もう祈りは、はじまっている。『信ずる』闘いがはじまっているね。全面的肯定だけを信仰だと思ったらとんでもない。ぼくは少なくともそう思っている。』